リビングでうつ伏せになり、
特訓をしている。
熱が入る。
クロールと平泳ぎ。
今年もこの季節がやってきた。
子供たちは、
ウキウキしている。
私は、洗濯の量が、
少なからず増えることが、
憂鬱である。
彼女たち、
スイミングスクールには
通ったことがない。
ーー複雑だ。
幼いころ、
周りで習っている子は
沢山いた。
送り迎え、
転勤、
コロナ、
やりくり…
色々な理由をあげ、
家計簿に、
習い事が入ることはなかった。
習わせてあげたい
気持ちはもちろんあったが、
将来への投資を優先し、
「今」を後回しにしてしまった。
結果、
これからの教育費の
目処はついた。
だけど、
泳ぎのぎこちない彼女たちを見ると、
これで良かったのかと
自問する。
きっと正解はない。
長い子育て、
何を優先するかは、
家庭による。
だからこそ、
水泳の授業を
楽しみにしている姿を見ると、
救われる瞬間がある。
指導にも、力がはいる。
私は、
スクールの育成選手だった。
まだ体が覚えている。
硬いリビングの床の上で、
力の限り泳ぐしかない。
「息継ぎしたら沈んだ」
「全然前に進まなかった」
洗濯機に水着を入れながら、
練習の成果を聞く。
リビングでの練習を
実践してくれている。
笑ってはいけないと
思いながら、
笑みが溢れる。
登校前、
部屋に並ぶ洗濯物を
漁る長女。
もちろん、まだ乾いていない。
ーーもしかして?!
「何で今日もあること言わないの?」
生乾きの水着を入れ、
急いでうちを出た。
我が家のリビングは、
しばらく水泳一色だ。
「家計簿のある暮らし」は、
数字の向こうにある、家族との日々や暮らしを綴るエッセイです。
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