幼少期、熱を出した時に、必ず食べていたもの。
布団に横たわりながら、昔を思い出すと、涙が止まらなかった。
母の作る雑炊は、卵雑炊。
1人用の土鍋に、私のためだけに作ってくれていた。
そこから、自分が食べられる分だけ、お椀によそう。
一口でもいいから、食べなさい。
母は、決まって、そう言った。
熱を出して、1番しんどい時に、食べるもの。
父の作るあんかけうどんは、すりおろした生姜がたっぷり入っている。
具は、たまにお揚げが乗っているだけで、とてもシンプルなもの。
片栗粉でとろみがついているので、生姜と麺と出汁が、よく絡み合って、とても美味しかった。
熱が落ち着き、食欲が出てきた頃に、よく作ってくれていた。
一杯食べ切ると、大体、大汗をかいている。
でも、そのおかげで、体はとても元気になる。
完全復活も、もうすぐそこ。
何も言わなくても、いつもこのメニューが出てきていた。
どんなにしんどくても、このメニューなら、食べることができた。
今回体調を崩し、最初の2、3日は、りんごとバナナを少しずつしか食べることが出来なかった。
何か食べた方がいい事は分かっていたし、途中からは、熱でしんどいのか、食べていないからしんどいのか、分からなかった。
主人は、何が食べたい?と、心配して聞いてくれるのだが…
何も…
食欲ない…
と、答えていた。
嘘ではない。本当に、そうだった…
でも、そんな時でも、私が食べることが出来るものがあるとすれば…
それは、卵雑炊とあんかけうどんだと思っていた。
でも、それらは、何が食べたい?と聞かれて答えるものではなく…
しんどい時に、決まって出てきていたものだから…
あえて、言う事でもなく…
ましてや、普段、料理を一切していない主人には言えない…
でも、何が食べたい?と聞かれる度に、その2つしか、頭に浮かばなくなってくる…
その当時は、“当たり前“だと思っていたけど、
それは、決して“当たり前“なんかじゃないのだと…
どんなに、ありがたいことだったのかと、今さらながら気付き…
涙が溢れ出た。
発熱から3日目、次女や主人も感染していることが分かり、家庭内隔離を解除した。
私が、ふらふらになりながら向かったのは、キッチン。
作ったのは、お味噌。
出汁の効いた、温かく、ほっこりした“それ“は、
とても体に染みた…
そこから、急激に体調が回復し、次の日は、いつも通り、家事をこなしていた。
一口でもいいから食べなさい。
と言いながら、卵雑炊を出してくれていた、母の言葉の意味が、よく分かった。
やはり、食べないと元気にならない。
でも、どうやら、それは、何でもいいわけではないようだ。
それが、今回、痛いほど良くわかった。
皆さんは、体調を崩した時に、これなら食べられる‼︎これを食べると元気になる‼︎と言うものはありますか?
ちなみに、我が子は、雑炊も温かいうどんも、食べてくれない。
だから、熱がある時に、何を作ってあげたらいいのか、良くわからない。
今回、私が布団の上で、ゆっくりりんごをかじっている横で、38度の熱を出す次女が、コーンスープに食パンを浸してバクバク食べていた。
体調不良の時の食事まで、欧米化している…
きっと、娘たちが大きくなって、体調を崩しても、母の味は思い出さないんだろな笑笑
娘たちが体調崩した時の、定番メニュー…
何か探したいなぁ…